この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第17章 いつか 離ればなれ
「誰か来た…」
「……そうだね」
「もう遅いのにね…っ。わたし、出るよ」
「頼むよ」
花菜が伊月の横をかいくぐりベランダから飛び出す。逃げ出す口実に使ったのはあからさまだった。
弛んだ表情は伊月に見られていないが、気の抜けた声だけでその安堵はバレる。
玄関まで駆け寄り彼女はドアを開けた。
「はい」
「…!」
「ええっと……?」
現れた来客は、花菜が見知らぬ女性だった。
若くて小柄な
「どちら様ですか?」
真面目そうな装いの…どこか、花菜と似た雰囲気の女性だった。
それを花菜が感じたからか、気不味い空気がただよった玄関。
出迎えた花菜を見て目を丸くした相手の女性も、同じことを感じ取ったのだろうか。