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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第17章 いつか 離ればなれ

「誰か来た…」

「……そうだね」

「もう遅いのにね…っ。わたし、出るよ」

「頼むよ」

花菜が伊月の横をかいくぐりベランダから飛び出す。逃げ出す口実に使ったのはあからさまだった。

弛んだ表情は伊月に見られていないが、気の抜けた声だけでその安堵はバレる。

玄関まで駆け寄り彼女はドアを開けた。

「はい」

「…!」

「ええっと……?」

現れた来客は、花菜が見知らぬ女性だった。

若くて小柄な

「どちら様ですか?」

真面目そうな装いの…どこか、花菜と似た雰囲気の女性だった。

それを花菜が感じたからか、気不味い空気がただよった玄関。

出迎えた花菜を見て目を丸くした相手の女性も、同じことを感じ取ったのだろうか。

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