この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第17章 いつか 離ればなれ
“ これは……なん だ? ”
この言葉は何を示している?
花菜の言っていることは間違いだ。
伊月に彼女はいない。正確には…今は、いない。
花菜を忘れようとして、大学で同じ学科の女と付き合った過去はある。だがそれは全く無意味な足掻きで──ふと正気に戻った時、彼女にと選んだ隣の女は花菜と似た面影を持っていた。
結局、抜けられない呪縛を自分自身に突きつけていただけだったということ。
今年になり花菜と一緒に住み始め、付き合いがおざなりになった伊月は女の方からフラレたのだ。
だから今の伊月に"彼女"にあたる人はいない。
“ だがそんな事は…!どうでもいい。今はっ……今、重要なのは……!! ”
花菜が何か勘違いをしているのか
はたまた嘘を告げられたのか
そのどちらだろうと大差ない。伊月が何より戸惑っているのは、花菜のこの態度だ。
“ 嫉妬しているのか… ”
今の花菜は伊月の事を異性として意識している。
兄ではなく…男として見ているのだ。