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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第3章 ルール
「わたしね…っ、ルールを守らない人が嫌いなの」
最近みんなの間で人気の歌は、どれもこれも似たような歌詞。
大人やルールに従うな。自分の道を進め、って。
でもね思うの。
みんながみんなルールを無視して好きなように行動したら、世の中はダメになっちゃうでしょう?
「誰かが真面目にっ…頑張ってるから…勝手なことができるくせに。卑怯だよ…!!」
「──…」
田舎から東京に来て以来、ずっと溜め込んでいた不満を彼女は少しずつ打ち明けていく。
卑怯な人間が嫌い。
自分勝手な人は嫌い。
…でもここで愚痴をこぼしている自分自身も嫌いだった。
他人の悪口を言わない伊月の前でこぼす愚痴だからこそ、花菜は自分を貶めているような気分になる。
“ あーあ…。わたしお兄ちゃんに嫌われちゃうのかなぁ ”
嫌われるかもしれない。
でも、たとえ嫌われたとしても優しい伊月は慰めてくれるに違いないから、花菜は不満を吐き出したのだ。
....
「花菜の不満は、もっともだね」
「おにぃ…ちゃん…!」
それを受けて、伊月が言葉を返すまで少しの間があいた。
何と言うべきかを迷ったらしい伊月は、静かな口調で彼女に同意する。
「花菜は間違っていないさ」