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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第17章 いつか 離ればなれ
突き飛ばそうとした花菜の両手。
伊月はそれを意に返さず、彼女の唇を貪った。
「ん…!」
優しさなんて何処にもなかった。
口内に差し込まれた──いや、注ぎ込まれたと言っていい、火傷しそうなほど熱い舌が淀みなく蹂躙する。
舌から喉から鼻の奥まで…まるで強い香水を注がれているかのようだ。
男の、香りだった。
隙間が無いから息もできない。
「…ん‥ッ‥…ふ‥!!」
むせ返る情欲。
誤魔化しを許さないひたむきすぎる独占欲。
獲物を絡め取る蛇となった伊月の舌が、口腔を犯すかの勢いで舐め回し、花菜の舌を吸い上げてくる。
「フゥ…ッ─‥‥ん、ん‥‥!」
下腹部が震えて、腰が砕けてしまいそうだ。
だが顔を伊月にがっちりと掴まれているから、上を向いたまま逃れられない。
首から先を持っていかれるのではと思った。
“ こんなお兄ちゃん知ら ない ”
もし──例えばの話
もし花菜が首だけになったとしても伊月は同じ様に唇を貪り、舌を絡めて彼女を愛しむに違いない。
それくらい強い執着を感じた。