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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第18章 僕を見て
──…
一度アパートを出た伊月は数時間後に戻ってきた。
今度はただいまの声もなければ、おかえりも当然返されない。
玄関の鍵は、伊月が飛び出してからそのままずっと開いていたようだ。不用心な…と思うけれど、内側から閉めたなら彼が外にしめ出されてしまうと考えたうえでだろう。
『 ちゃんと戻るから 』
その言葉を彼女が信じて待っているとは予想していなかったであろう伊月はドアノブを回す前に、ポケットから取り出した鍵を90度…無駄に回した事になる。
ただ、迎える声の無いその部屋は、すでに電気が消えていた。