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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第19章 シロツメ草の記憶
だができなかった。
『……もう泣くな。
俺が──…兄ちゃんが助けてやる』
妹を犯す憎き男は彼の父親だった。
親子だった──彼は、逃げる事ができなかった。
“ …だから刺したんだ。あいつを ”
逃げるのを諦め、自らの手で壊す事を選んだ不破。
その瞬間に彼は大切な物の全てを失ったが
…それでも構わなかった。
変わる事を恐れ…中途半端にもがいていたあの頃よりもずっと、ずっと軽くなった自身の肩に
そのあまりの軽さに、歓喜したのを覚えている。
「……」
不自由の反対は
自由と、喪失だ
「…お前がそうやって、現実から目をそらし兄妹を演じ続けようがな」
「…っ」
「お前の兄貴はとっくに限界を超えてるぞ。……超えて尚(ナオ)縛られ続けた奴が、最後にとる行動が何かわかるか?」
「………え」
...
「──あ!
いました!鈴村さんです!」