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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第19章 シロツメ草の記憶
教師達は不破にチラチラと目配せをしながら、話の続きを渋っている。
だがこの問題児が気を利かせて立ち去る気配はなく、仕方なしといった様子で口を開いた。
「鈴村さんの両親から、あなたへ知らせるように学校へ電話がありました」
「お母さんたちから…?」
「今から病院へ行きなさい」
「……!」
泣き顔を隠して俯きかげんだった花菜。
バッと前を向くと同時、両眉がつり上がった。
「君と一緒に住んでいる……──君の…お、お兄さんが、救急で病院に運ばれたそうだ」
「──…」
「先生が車を出すから急いで行こう!」
「な………ンデ……?」
とにかく慌てている担任と
何やら気難しい顔の教頭と
細めた目で哀れみを向けてくる校長と…
「‥‥‥!」
重なる、全てが──
あの日に重なってしまう
フワリ
フワリと
幼きあの日の…白い花が風に靡く(ナビク)