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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第20章 溺れた兄妹
「そもそも市販の睡眠薬をどれだけ大量に飲んだとしても──例え、100粒の錠剤を一気に飲んだとしても、命に危険を及ぼすようなことはありえません」
「…つまりどういう意味だ」
「つまり…──原因が薬の過剰摂取によるとなると、服用した物は市販の薬ではないわけですから、そんな強力な薬をどうやって入手したのかという疑問が生まれるわけで…っ」
「フッ…、なるほどな」
「それに彼の身体には強打の痕があり、背骨には骨折の症状が見受けられる…!これは普通ではない」
「……普通ではない、か」
医者の言葉に対して、別に驚きはない。
不破が鼻で軽く笑った。
骨折の原因は自分であるし──それに、伊月が普通ではない?
そんなコトにはもう気付いていた。
あの兄妹が異常な関係にある事はとっくにわかっていた。
「別に可笑しな事はないだろう…。薬(ヤク)と名の付く物なんて、探せばそこかしこに転がってるぞ」
「……っ」
だが……
彼は大きな勘違いをしていたのかもしれない