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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第20章 溺れた兄妹
君を安心させたい
君を怖がらせたくない
君を悲しませたくない
「……」
だけれど僕は──君をひとりの女として愛したい。
それがいかに矛盾した事象であろうと、君をひとりの男として支配したい。
いっそ死んでしまえばいいと思った。
それが一番いいと思った。たとえ、僕の身体が死んだとしても…
決して" 僕 "を見ようとしない彼女の中へ今度こそ、僕という存在が強烈に居座り続ける。
" あいつ " が、ソレを選んだように。
あいつがいつまでも…彼女の夢から消えないように。
“ なんて馬鹿なやつだろうって呆れたけれど……今の僕なら、その選択の意図を理解できるよ ”
今の僕はきみが心底、羨ましい
「花菜……」
「…ッ…大、丈夫?平気?ねえ?苦しくないの!?」
「ああ、もう、平気」
伊月の両手をベッドに固定したのが誰の指示なのかは知らないが、それは正しい判断だった。
そうでなければ間違いなく伊月は──邪魔な点滴の注射針を自身の腕から引き千切り、花菜を掻き抱いたに違いない。