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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第21章 眠り姫の呪い
「そもそもお兄さんが学校に来たのだって、鈴村さんの成績が悪いせいで先生に呼び出されたんじゃないの?」
「言えてる〜。だって最近の鈴村さんってしょっちゅう授業サボってるし居眠りも多いし、真面目だけが取り柄だったのに大変だよねぇ」
「調子に乗りすぎなのよ。……ちょっと不破センパイにかまってもらえてるからってさ」
「……」
あーこれ、また髪の毛引っ張られるのかな。
でもここは他人目(ヒトメ)が多いし…さすがに痛い事はされないと思うけど。
「お兄ちゃん大好きなら、さっさと先輩から離れなさいよ」
「不破センパイと不釣り合いなのわからない?」
話題がいつの間にか兄の事からそれているから、花菜はそれで良しとする。
たとえ遮ったとしても、それを越える嫌味の数々が土石流のように流れてくるのは明白だから、口を閉ざすことにした。
…だって、痛くも、痒くもないから
「──…俺の名が聞こえたが?」
「…っ」
そうして押し黙った花菜の向かいに、どこから現れたのか不破がいた。
四人組の背後に立つ不破は、いつにも増してだらしなく着崩した制服姿で鞄を肩にかけ、帰り支度はすませたようだ。