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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第21章 眠り姫の呪い
硬直した女生徒たちの間を押し退け、怠そうな足取りで花菜に歩み寄る。
「あ…先輩、こんにちは」
「暑い…」
「昨日のほうが暑かったですよ」
「昨日が暑かろうがシベリアなみの極寒だろうが、いま暑いことに変わりない」
「……それもそうですね」
無造作だった髪を短く切った今の彼は春よりもすっきりとしている。
だが好青年という印象は全く無くて、片耳に付けたピアスが余計にギラついて目立っていた。
「さっさと行くぞ」
「…え…っと、今日はお兄ちゃんが来てるので、わたしはまだ学校に残ります」
「…?あいつがいるのか」
「はい」
どこからどう見ても問題児に違いない風貌(フウボウ)の不破と、何食わぬ顔で会話する花菜。
「……ッ」
この状況が面白くないのは、存在を忘れられたように無視されている四人組だ。
「ちょ!ちょっと」
「…?なんだお前」
「どうして先輩は…っ…鈴村さんを庇うの?」
「……庇う?」