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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第21章 眠り姫の呪い
花菜を取り囲んで笑っていた連中はこれでいなくなった。
「ありがとうございます、先輩」
不破にそのつもりがあったかは知らないが、花菜はとりあえず礼を言う。
廊下に立って向かい合う二人は周囲の注目をあびてはいるが、彼女がひとりの時に注がれるいつもの敵意はもう…感じない。
「でも、こうやって先輩に助けてもらうのは最後になると思います」
「最後?…そうか」
「はい」
それよりお前の兄貴はこの学校へ何の用だ
不破がさっさと次の話を切り出そうとした時…
目の前の彼を見上げた花菜は、照れているようにも見える奇妙な微笑みを浮かべていた。
「わたし、学校を辞めるんです」
「……!」
「高校中退です。……ふふ」
控えめに笑うその姿は、自虐なのか本心なのか測りかねる。
彼女の発言が予想の斜め上をいっていたので、さすがの不破も声を呑むしかなかった。