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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第21章 眠り姫の呪い
学校を辞める?
その選択に対して「馬鹿な事をするな」と否定する柄ではない。だが、何故、という疑問くらいは生まれる。
「…理由はあるのか」
少し間を置き、不破が尋ねる。
「それは…」
すると彼女は足元に視線を逃がした。
伏し目がちに頬をほんのり赤く染めるものだから、不破はますます理解が追い付かない。
理由が無いなら無いでも良かったのだが…
彼女のこの様子は…
「……その、実は」
明確な理由がある。
花菜は片手をスッと動かし、自分の腹に掌を添えたのだ。
「………赤ちゃんができました」
「……」
「わたしの…──ここに、赤ちゃんがいるんです」
不破が眉をひそめる。
そんな彼の表情を見ていない花菜は恥ずかしそうに俯いている。
他の生徒には聞こえないくらいの小声だったから、廊下が騒ぎになる事はなかった。
「……」
「………それは」
「……」
「──…誰のガキだ」
「……この 子は」