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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第21章 眠り姫の呪い
「不破先輩」
「──…」
「不破先輩の子です」
花菜がおもむろに顔を上げる。
目が合う。
…面映(オモハ)ゆそうに笑う顔の中心で、死んだ魚のような瞳が不破へ向けられた。
それを、どうして全く動揺できないのか…彼自身もわからぬほど冷静に受け取った。
「あ、でもそれで先輩に責任を取らせようとか迷惑かけるつもりはありません!わたしがちゃんと育てます。そのために学校だって辞めるし、お兄ちゃんも助けてくれるからって──…」
告げられた事実は──
事実として納得するには、多少の無理がある。
だから焦る気にならないのか。
だから彼は顔色ひとつ変えずに、そっと花菜から視線を外す事ができたのだろうか。
「花菜」