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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第21章 眠り姫の呪い
伊月と立ち代わりで花菜が去ったので、今度は不破と伊月の二人となる。
「久しぶりじゃないか、不破くん」
「……」
愛想よく微笑みかける伊月に、無言の仏頂面で不破が応える。
その直後、向かいから走ってきたひとりの生徒と半身がぶつかった伊月。
ドサッ
彼は手に持っていた鞄を床に落とした。
「…ッ…と」
パソコンも余裕で入りそうな大きさのトートバックが倒れ、中身をぶちまけてしまう。
手帳と
財布と
飛び出したそれらに重なるようにして、大量の封筒が雪崩れていた。
それはどうやら郵便物だ。
伊月はすぐに腰を下げ、落ちた鞄を拾い上げる。
──その一連を不破が見ていた。
「……そんな物まで持ち歩いて、苦労してるな」
「ああ、これはね……仕方ないんだ」
伊月は鞄を壁際の手に持ち替え、邪魔にならぬよう廊下の隅に寄る。