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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第4章 発芽
花菜はスカートの裾を握りしめて立ち上がる。
けれど脚に力が入らない。パンツを見られたかもという羞恥も相まって膝がガクガク震えていた。
「─ッ…てぇ…。いきなり突き飛ばすとかふざけてんのか!?」
「そっ、それはあなたが…!」
「はぁ?」
「…っ」
突き飛ばされたことで、もともとニヤついていた男まで機嫌を損ねてしまった。
態度が急変し、凄みのある声で威嚇される。
花菜は身の危険を感じて屋上の出口に顔を向けるも、別のひとりが導線上に立ちふさがっていた。
「あいつらがヤってるとこ、こそこそ覗いて興奮してたくせによ」
「…ちがッ」
「痴女だっけ? お前みたいな変態をな…そう呼ぶんだぜ」
「…!? 変態…っ…じゃありません! そもそも! あなた達に言われたくない!」
逃げ道もなく危機的状況に放り込まれた花菜は
それでも──いや、逆にこんな状況だからだろうか。自分を侮辱する男に向かって気丈に言い返した。
気丈と言えどその声は震え…
風で揺れたフェンスの音に、負けてしまいそうな声量だが。