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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第4章 発芽
「…馬鹿か。正しいのはお前だろう」
「──…!?」
「お前が謝る必要ないだろ…」
「ぇ‥?」
それは、伊月とは真逆な男の声だった。
低くて掠れていて…柔らかさの欠片もない声。
声の主は何食わぬ顔で本を読んでいて、まだフェンスの前から動いていない。
「不破( フワ )、お前はムカつかないのか? こいつのせいでさっきの女に逃げられたんだぜ」
「…あの女は喘ぎ声がわざとらしくて好みじゃない。だからちょうど良かった」
「…ンだよ、それ…っ」
花菜の腕を掴んだまま振り返った男が反論するも、彼は本から目を離さない。
彼はまさに、数分前までここで女生徒と淫らな行為にふけっていた…その張本人だった。