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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第6章 助けて…お兄ちゃん

「この女──ッッ…」
噛まれた手を引き、反対の手を振り上げた男。
今度こそ殴られる──?
男の形相が屋上の時とは比べ物にならないくらいの険悪なものに変わり、花菜はぎゅっと目を閉じた。
ガツ!!
「…!?」
しかし、男の平手が花菜の頬を打つ直前に
彼女からして右手の──部屋の窓側に置かれた事務机が、誰かに蹴られて大きく音を立てた。
「…!? 不破…」
「──…、勝手に殴るな」
「……っ、……悪い」
机の上で仰向けの不破が、足だけを動かして机の側面を蹴ったのだ。
西日に照らされている彼はそこで悠々と寝ているのかと思いきや、…そうでは、ないのか。
何にせよ、男を牽制した不破は窓の外へと顔を背けた。

