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溺愛 ~ どうか 夢のままで ~
第6章 助けて…お兄ちゃん

“ 何なんだろう…。何を考えているの…!? ”
再び顔を背けた不破を見ながら、乱れた呼吸で肩を上下させる。
もう一度こちらを向いてほしい
花菜はそう思ったが、彼がこちらに関心を向けることはなかった。
“ わたしをこんな所に連れてきておいて…っ、なのに、暴力は止めるの? 『勝手に殴るな』ってことはつまり…許可を取れば殴ろうが何しようがいいってこと…? ”
不破が割って入ったことで生まれた沈黙が、空気そのものに纏わったかのように暫く続いた。
…花菜が "暫く" と感じただけで、ホンノ数秒の間だけだったのかもしれないが。
「…チっ」
目の前の舌打ちがその沈黙を破った。
「──…まさか助かった気でいねぇよな?」
「あ…!」
不破に止められて格好のつかなくなった男は苛立ち、窓辺に向いていた花菜の顔を強引に引き戻す。

