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再会という名のBAR
第1章 突然の別れ・・
二人の女とすぐに店の中に戻ってきたマスターに、
カウンターに座る男がすかさず声をかけた。
「あれ?マスター、タバコ買ってきたの?」
おっといけない!と甲高い声を出すと、好きなとこに座ってて、と言いながら
店の外へと急ぎ足で出ていった。
マスターに声をかけた男とひとつ間を開けた席に瞳と伊知子が座って間もなく、
マスターが戻ってきた。
「すいませんねえ、はじめてのお客さんをほったらかして」
買ってきたタバコは奥のテーブル席に座る客のためのものだったらしい。
瞳たちに声をかけながらテーブル席の男の客に腕を伸ばして差し出した。
「なにになさいますか?」
棚にびっしりと並ぶ酒瓶は、淡い光を浴びて静かに輝いている。
その光を背にしたマスターは、
「迷っているならとりあえずビール、でいいんですよ」
そう言われて瞳も伊知子もなぜだかホッとした。
この人になら気軽に酒を頼めそうだ。
難しい名前のボトルを目の前に並べて見せるような人ではなさそう。
それが瞳の第一印象だった。