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第1章 一話　翻弄

　濡れたら挿入。
　女の声は全て嬌声。
「やめて」の真意は「もっと」。
　ビールと同じくナマが好き。
　射精したら、はい、おしまい。
　そんな、自分本位なセックスをする男には辟易としていた。その点、オナニーはいい。自分のペースで、自由な快感をお手軽に楽しめるのだから。どれだけ快感に狂っても、余韻に浸っても、咎める者は誰一人としていない。
　だから、酔うほど気持ちいいセックスなんてないと思っていた。そう、あの時までは――。