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第20章 大いなる保護と罠

「・・・
もしかして・・・私の為に・・・」


何となく冴えない美波の顔。
会話を聞かせるのは、不味かったのだろうか？



「それだけではありませんよ‥
東条海里は多分、美波と主催を狙っています」


「私と櫻澤さん‥
だけど仁科さん不本意だって、それに少し怒っていますよね？」


「それは・・・」


美波は、私の微かな感情の変化に気付いている。
この単調な会話から、そこまで気付くとは思わなかった。


私も美波も、お互いこの姿だったら、餓え以外の共鳴反応は殆ど起こらない。
だからこそのピアス、美波を心配して私が早めに手配していた物。



「不本意と言ったのは、日本支部を使う事ですよ‥
それに、私はそんなに怒っているように見えますか？」


「少しだけ‥‥」


「・・・
そうですね、怒っているというか、苛ついている理由は‥‥
東条海里が、美波に目を付けたのが面白く無い」


私は座っている美波の前で膝を折る。
そして、軽くだが美波を抱き締めた。



「前にも言った筈です‥
美波に危害を加えるのならば排除すると、私は嘘は付きません」


「私は、大丈夫ですから‥
仁科さんは過保護ですよね？」


「・・美波には・・
私は何があっても、美波を守ります‥
それが、美波を巻き込んでしまった私の役目、違いますか美波？」