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それを、口にすれば
第10章 それぞれの想い
「そんなことない! その辺の男と貴方は違うわ……私たちはステージが違うの。初めから分かってた。父の紹介で初めて挨拶をした時からね」

何かのパーティーで理沙子を紹介された時のことは仄かに憶えている。美しい女性で……ただ、それ以外の印象はない。もちろんその数年後に結婚することなど予想も出来なかった。

「だからどうしても欲しかった……」

「……欲しかった?」

父親の勧めで結婚相手を選んだ……それがただ自分だっただけではないのか?

「お父様のお気に入りだったのは本当よ。でも、貴方には恋人がいた……。父は貴方があの女と結婚すると思って諦めていたみたい」

ああ、そうだ。あの頃の自分は、仕事で成り上がり、交際していた女性といつか幸福な家庭が作りたいと……人並みに思っていたのだ。優しい妻と子供たちに囲まれて。

「そうよ。あの女だって同じだった……札束に目が眩んで……」

「どういうことだ? お前……彼女のことを知っているのか? 札束と言ったのか?」

あの時、突然別れを告げてきた彼女……その目には涙がいっぱいに溜まっていた。
なのに結城の説得には全く耳を貸さず、しまいには突然姿を消してしまった……。

「ちょっと飲み過ぎちゃったみたい……黙秘権を行使するわ。お互いに詮索しないことが幸せの秘訣……それは貴方が教えてくれたのよ」

理沙子は部屋を後にした。



企業買収の世界で、幾度も修羅場をくぐって来た結城にも読めないもの……
それは女の情念だった。

――いくら形が歪んでも、理沙子は結城を愛していたのだ――





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