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それを、口にすれば
第13章 思いやるということ
結城家のリビングでは、早い時間から酔った理沙子が、帰宅したばかりの結城を前にご機嫌で話をしていた。
話題の中心は……良介のことだ。
「それでね、あの男……取り調べの時も、クライマックスのくだりになると目を潤ませて勃起しちゃうんですって……ほんと変態よねえ」
理沙子の話を結城は無表情で聞く。
以前はどんな時も無難に取り繕っていた妻への態度は、最近ではとても冷たいものへと変わっていた。
理沙子の説明では、あの日突然生理になり、それに不満を感じた良介が勝手に旅館を出て行って一人であのような事件を起こしたのだということだった。
しかし、日頃の理沙子と良介の関係性を知っている結城はそれが信じられなかった。
それにいくら良介に愚かなところがあったとしても、あのようなことをすれば身の破滅だということぐらい分かるだろう。
実際、良介は起訴はされない見通しだが懲戒免職となっていた。
良介がそのようなことになった以上、今までのように結城と優雨が会うことはもう叶わなかった。
世間一般的には二人は恋人同士などではなく、あくまでも〝夫婦交換〟という特殊な条件で繋がっていたに過ぎないのだ。
(あれだけ身体を重ね、心を重ね合っても……一番側に居てやりたいときに、この手で抱いてやることもできない……)
今まで数々の夫婦や女性たちと結んできた関係の中では感じたことのなかった、儚さやあっけなさの様なものを感じ、結城は言いようのない虚しさを感じていた。
話題の中心は……良介のことだ。
「それでね、あの男……取り調べの時も、クライマックスのくだりになると目を潤ませて勃起しちゃうんですって……ほんと変態よねえ」
理沙子の話を結城は無表情で聞く。
以前はどんな時も無難に取り繕っていた妻への態度は、最近ではとても冷たいものへと変わっていた。
理沙子の説明では、あの日突然生理になり、それに不満を感じた良介が勝手に旅館を出て行って一人であのような事件を起こしたのだということだった。
しかし、日頃の理沙子と良介の関係性を知っている結城はそれが信じられなかった。
それにいくら良介に愚かなところがあったとしても、あのようなことをすれば身の破滅だということぐらい分かるだろう。
実際、良介は起訴はされない見通しだが懲戒免職となっていた。
良介がそのようなことになった以上、今までのように結城と優雨が会うことはもう叶わなかった。
世間一般的には二人は恋人同士などではなく、あくまでも〝夫婦交換〟という特殊な条件で繋がっていたに過ぎないのだ。
(あれだけ身体を重ね、心を重ね合っても……一番側に居てやりたいときに、この手で抱いてやることもできない……)
今まで数々の夫婦や女性たちと結んできた関係の中では感じたことのなかった、儚さやあっけなさの様なものを感じ、結城は言いようのない虚しさを感じていた。