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第13章 思いやるということ

あの夜の出来事が理沙子の仕組んだものだとしたら……それは行き過ぎたプレイに近いものだと思っていた。

しかし……その動機はやはり、自分と優雨の関係に関することなのか？

愛も、執着も、自分たち夫婦の中には無いのではなかったのか……？

以前、自由恋愛はお互いに許すけれど、誰かを愛したら殺す――と冗談めかして言っていたのを思い出す。
しかしあんな話は酔った席での冗談ではなかったのか……。

理沙子の動機も気になるところだが、今は優雨の身に降りかかっている問題を何とかしなければならない。
良介が金を借りたという闇金について調べる必要があった。

優雨が話してくれないのなら、レストランに出向いて、取り立て屋に対応してくれたという店長に会ってみようか……。
明日からの海外出張から戻ったらすぐにでも。

例え自分と優雨がただの隣人、友人だとしても、それぐらいは不自然ではないだろう。

こんな日に側に居てやれない自分の立場が歯がゆい。
そして、もしもこのまま良介が優雨に背を向け続けるのなら……。

優雨の側にもっといてやりたいという気持ちが湧き上がって来る。
しかし、そのためには多くの壁を乗り越えなくてはならないだろう。尊敬する理沙子の父からの信頼を裏切るようなことも、できれば避けたかった。

これから自分は一体どうするべきなのか……。
どうしたいのか……。

思わずスマホの画面に目を落としたが、やはり優雨からの返信はないままだった。