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それを、口にすれば
第14章 絆
同じ日……
良介は自宅で一人、遅い昼食を取っていた。

テレビもエアコンもつけていない、本当に静かな一人の時間。
そんな中、どこかの家からわずかな物音が聞こえてくるだけで良介は息を止め、うずくまるようにして玄関の外の気配を窺った。

良介の情けないほど完璧な居留守のせいか、取り立て屋は最近では優雨の働くレストランの方に多く行く。
しかし、それでも時々はこちらにやって来るから油断は出来なかった。

しかもオートロックなのに、誰かが番号を教えたのだろうか……連中は玄関の前にまで来て大声を出す。

たまたま理沙子が不在の時に来ることが多く、気になったことはないと言っていたが……あの大声では他の部屋の住人も気付いてしまっているだろう。

彼らが家に押し掛ける日はレストランの方には迷惑電話が掛けられているのだが、良介には興味の無いことだ。

一度だけ優雨のいない時間に家で電話に出て見つかってしまったが、その時は本当に恐ろしい思いをした。

電話のコードも抜いてあるからもう問題ないが、一人の時にあの男たちに見つかるのだけはごめんだと良介は思っていた。

――来るのなら、優雨のいる時にして欲しい――
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