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それを、口にすれば
第14章 絆
「しっかし……握り飯にももう飽きたなぁ。もっとマシなもんは無えのかっ」

そんな小さな叫びも部屋の中に虚しく響く。
外廊下にあるメーターが気になる、電気を使を使わない昼食を作らせているのは自分だったが……いい加減飽きてくる。

今夜あたりこのことで優雨を責めてやろうと思いつき、良介の顔からは少し笑みがこぼれた。

紛れもなく自分で蒔いた種なのだが、様々なもののせいにすることで日々を過ごす。
良介も良介なりにストレスを溜めているのだ。

……あの夜の出来事については深く考えることが出来なかった。
いや、考えてもよく分からなかった。

社長や上司、同僚、そして女子社員たちにあんな姿を見られたことは屈辱的なのだが……同時に今まで生きてきた中で最高の体験であったとも思える。

いや、最高であったとは言い過ぎで、最低には間違いないのだけれど……でも、思い出すと堪らなく気持ちが高揚して激しく勃起してしまう。

今でも自慰のネタはあの晩のことだった。

理沙子に関しては、あんなプレイを考え付くなんてやっぱりすごいと言うしかなかった。
少々行き過ぎだったとは思うが、あのタイミングで舞台の幕が上がってしまうなんて思っていなかったと……申し訳なさそうにしてくれていたし、あの事があってから前のようには自由に会えなくなってしまったのだから、理沙子も被害者だと良介は考えていた。

金のことに関しては、大げさなほど喜んでくれる理沙子のために使いたいと思ったのは自分だし、使い込みが会社にバレたのはどうしてなのか分からないが……即金で金を貸してくれるところを紹介してくれたのは理沙子だから当然感謝している。

あんなに怖い連中が来るのには驚いたが、多少は仕方がないのだと理沙子は言う。
それに大きく膨らんだ借金を、今度は安全で確実に返す話を教えてくれたのだから本当にすごいと思う。

(てゆうか本当にそんなことできるのかよ……まだ信じられねえ。そもそもあれぐらいの金、すぐに返せるぐらいの貯金を優雨がやりくりしていれば……家でぐうたらしやがって)
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