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それを、口にすれば
第18章 エピローグ
シナモンケーキを切り分け、皿に盛る。

そしてひとくち、それを口にしたところで……玄関のドアが音を立てた。

コンコンコン……。

「……はーい」

弟の住むアパートにはインターホンはついていない。
よっこいしょと重い腰を上げ、ゆっくりと玄関に近付いていく。

そして、覗き穴から訪問者の姿を確認しようとした時……

「優雨……?」

と、忘れもしない、あの美しく、低く響く声が自分の名前を呼ぶ。

嘘……。
結城さん……?

どうして……どうして?

心臓が痛いほど高鳴り、ドアに両手を当ててもたれるように顔を埋める。

「優雨なんだね。遅くなってしまったけどやっと見つけたよ……」

声を出すことが出来ない。

「どうしても今日、言いたいことがあってここに来た」

何を、どこまで知っているのだろう……?
優雨は様々な想いに襲われ、思わず腹部に手を当てた。
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