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それを、口にすれば
第5章 封じられた夢、封じられた心
何かが狂っているとしか思えない夜が終わり、帰宅すると……良介は訊いてもいないのに言い訳を始めた。

「先週、DVDを見たんだ。過去のスワップの……セックスレス解消にどうかってな」

「そんな話、知らなかったわ……」

優雨は混乱し、疲れ果てていた。

理想の夫婦に見えていた結城と理沙子。
楽しい会話に、優雨のために結城が選んでくれたワイン。
美味しくできた牡蠣のコンフィ。
結城への秘かな恋心……。

それらを、良介と理沙子の激しい性交の場面が黒く塗りつぶしていく。

そしてさらに思い出されるのは夫の目の前で何度も果ててしまった自分の姿。
憧れの人から与えられた、初めてのエクスタシー……。

結城や理沙子にこの先どんな顔をして会えばいいのだろうか。

「だから俺は悪くないぜ……お前だって」

……

言い訳し続ける良介のことを構う余裕もなく、優雨は泥のような眠りに落ちていた。







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