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それを、口にすれば
第7章 本当に求めるもの
ことが終わって……
気持ちが高ぶってしまった優雨は再び涙が止まらず、そしてそんな優雨に誰も声を掛けなかった。

それについては良介、結城、理沙子、各々の理由があるのだろうが、優雨には推し量ることが出来ない。
特に、結城がその優しさと冷たさの混じった表情の下に隠していることは……。

部屋には良介の精液の匂いが漂い、股間にはベタベタとした違和感を感じる。

布団にくるまったままの優雨がどうすることも出来ずにいると……いつもなら泊まっていく筈の結城が理沙子と共に部屋を出ようとしていた。

この状況で結城と二人きりにされても困ってしまったかもしれないが、それでも行かないで欲しいと思う。

思わず身体を起こして結城を目で追うと、結城も優雨の瞳を見つめ、そして改まった調子で良介に声を掛けた。

「……今日は失礼することにしましょう。それと良介さん、来週と再来週はお休みでお願いします。来週末から十日間ほど海外出張に出るものですから」

来週、再来週と会えない……。
と言うことは、こんなことがあった後なのに、もしかすると三週間近く会えないのだろうか……。

不安な気持ちを隠しきれない優雨が言葉を探していると、良介が不満そうな声を上げた。

「休みって……理沙子さんはどうするの? まさか着いて行く訳じゃないんでしょ」

今までは、理沙子に入れあげている様子の良介を見ると、わずかだが心の軋みを感じることがあった。
愛情があっても無くても、それが夫婦ということなのかと優雨は思っていた。

しかし、結城への強い気持ちに気付いた今はそれすら無くなってしまっていた。
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