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第3章 好きの気持ち

陸が言うには、その子は気が強そうだけど痴漢されて半泣きになっていて、助けると、涙目でお礼を言われて、その目がやけに綺麗で、可愛いくて、一瞬で虜になったらしい。

人が人を好きになる瞬間ってどんな時なんだろう…。
ふと自分のことを思い出してみる。

…。

茜を初めて見たのは新入社員の説明会の時だった。
それでなくても背が高めで目立つだろうに、それに加えてあの容姿で、男たちが興奮したのは言うまでもない。
今は髪の毛を肩くらいに切って茶色く染めてるが、当時は黒髪のﾛﾝｸﾞﾍｱｰで、そのｲﾒｰｼﾞだけで男たちが『気強そう』などと言っていたのを今でも覚えている。
その時は、俺は、ただ少し可愛いと思っただけだった。

いつからこの気持ちは生まれたのか…。

そんなことを考えていると、後ろから声を掛けられた。

「あ、あの…」