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伝わらない想い
第9章 伝えたい想い
「ね、良いじゃん」

「いや困ります」

マスターが出て行ってからしばらくして、店の端っこで飲んでいた2人組がカウンターにやって来た。

そこでしつこく、声を掛けられる。

「蘭ちゃん、連絡先教えてよ」

「そういうのはちょっと...」
何度断っても諦めてくれない。
お酒も入ってるからか2人の行動は段々大胆になっていった。

「こいつ、本気なんだって」

「俺ずっと蘭ちゃんのこと良いなって思っててさ...ね、良いでしょ」
カウンター越しにぐっと腕を掴まれる。

「ちょ、止めてください…離して...」

「蘭ちゃんが連絡先教えてくれないと離さないよ」

仮にもお客さんだからあまり邪険にも扱えなくて、どうしたら良いか解らない。

「お願いします、離して...」

ぐっと腕を振り解こうとした時、さっと違う手が男の腕を握って私から離してくれた。
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