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伝わらない想い
第9章 伝えたい想い
俺の部屋に来てからも蘭は俺から離れようとしなかった。

「風呂、入るか?」
恐怖で冷えきってしまっている身体をなんとかしてやりたかった。

蘭は少しだけ間を置いて、「ありがとう...」と言った。

ゆっくり風呂場に連れて行く。

「一人で入れるか?」

離そうとすると、ガタガタと震え出す身体。
「ここに居るから」
蘭の手を握ったまま背中を向けるように立つ。

「大丈夫だから」

蘭はゆっくりと手を離す。

「ずっと居るから」

「しっかり温めろよ」

「蘭」

「大丈夫か?」

蘭が浴室に入って行ってからも俺は何度も声を掛けた。
少しでも安心させてやりたかった。

「....ぅっ...」
シャワーが流れる音と一緒に蘭の苦しそうな声が聞こえて、堪らず俺は浴室に入ってその小さく震える身体を抱き締めた。
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