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伝わらない想い
第5章 伝わらない想い
不意に我に返る。

乱れきった彼女は泣きながら何度も呟いていた。
「ごめんなさい...」

「だから、ごめんは嫌いだって言ったろ」
彼女の服を直す。

謝らなきゃいけないのは俺の方だ。
「泣かさないって...言ったのにな」

どんどん溢れてくる彼女の涙を拭う。

「約束守れなくて、ごめん」

俺はただ。

「幸せにしたかった...」

なのに。

「こんなことして、ごめん...」

彼女は涙を流しながら小さく首を横に振るだけだった。

「茜ちゃん...最後のお願い、笑って...」

俺のそんな我儘に、彼女は小さく応えてくれたんだ。
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