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友達でいるしかない
第7章 時の流れ
スマホをいじりながら飲んでると入口の方から文香の声が聞こえた。

「こんばんは~~あっ…もう飲んでる。ずる~い。大将私もビールお願いね~」

いきつけの店だけあって簡単に挨拶をして俺の隣に座る。

「なんで待っててくれなかったの??」

恨めしそうな顔で俺を見る。

「はははっ。フミちゃん。仕事終わった後の男にビール飲むなって言うのは酷な話だよ。フミちゃんだったら待てるかい」

文香のビールを運んできた大将が文香に言う。

「…無理だね」

簡単に答えをだす。
その2人の掛け合いに俺はついつい笑い出してしまう。
社会に出たらこんなにも人は変わるのかと驚きもあり愉快でもあった。
もちろん中身が変わるわけではない。
引込み思案であまり自分のことをストレートに話すことをしなかった文香が今では大将と楽しく話せている。
その風景が俺にはいい感じに見えたから。

「じゃ、則孝。お疲れ様でした」

グラスを持って、早く飲みたいという感じで乾杯を急かす。
カチンとグラスを合わせると、一気にビールを喉に流し込む。
ビールはあっという間に半分以上なくなった。
あまりの飲みっぷりに呆れていると、勝手におつまみとお代わりのビールを注文する。

「…すごい飲みっぷり…キャラ違うんじゃない」

驚いてそう聞いてみると、いつもの笑顔で話してくる。

「そう?お酒飲みはじめてビールにはまっちゃった。このお店だとね。気兼ねしなくていいんだ。みんな年上のおじさまばかりだからかな??可愛がってくれるよ。常連さんもいっぱいできたし。」

うれしそうに喋る文香がいつも以上に愛おしく見える。
ランチしたときも思ったことだが、何年たっても文香への想いは変わらないのだと実感させられる。
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