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友達でいるしかない
第7章 時の流れ
「よりを…戻したということか…」

笑うしかなった。
よりにもよってあの時の男に再び奪われるとは思ってなかった。
そしてあの勝ち誇ったような顔が脳裏に焼き付いて消えない。
あの時に見た文香のキスに酔いしれる表情も鮮明に思い出す。

大切にしてい物がこの手から滑り落ちていった気がした。
ずっと大切に大切に守ってきた何かが一瞬にして消えてしまったような、そんな思いが広がった。
この先、文香が結婚してしまえば俺には何も残らない。
ずっと心の奥底に沈めていた気持ちさえなくなってしまう。
俺は何をしてきたのだろうかと自問する。
文香の幸せは何か自問する。
考えれば考えるほど分からなくなる。
分かっているのは文香の傍には俺がいたかったということだけ。
友達でも恋人でもなんでもいいからずっと文香の傍に寄り添っていたかったのだと。
でも、それは友達として永遠には無理だったことに今更ながら気が付く。
恋人じゃなければ未来がないと。
もう、彼氏もできて俺が入り込む隙がないのかもしれない。
だけど、自分の気持ちも伝えないまま全てを終わりにはしたくなかった。
できないと思った。
このまま何もなく終わってしまったら、俺は一生文香に囚われて、文香のいない世界で文香を思って過ごしていく恐怖を思ってしまった。
だったら、自分で終わりにしようと自分の中で答えがみつかった。
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