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友達でいるしかない
第7章 時の流れ
行きつけの「彩り」のドアを開けると、中から大将がにこやかに声をかけてくる。

「ふみちゃん、のりちゃん、お疲れ様!!いつもの席どうぞ~」

俺もいつの間にか“のりちゃん”と呼ばれるようになった。
文香が予定があるときは一人で来たことが何度もある。
俺も一応常連。

「勝手にお絞りもって行くね~とりあえず、ビール2杯と2000円ぐらいで適当におつまみお願いしますね。」

席に着き一息つく間もなくビールが手元にやってくる。
文香の目が輝いてるのは見なくても分かる。

「ではでは、おつかれさま」

ジョッキを片手に乾杯をして口に運ぶ。
横目で文香を見ると一気に飲み干す。
どれだけお酒好きなんだよ!と毎回突っ込みたくなる。
人は見かけによらないとはこのことなんだろうとしみじみ思う。
俺のビールが半分も減っていないのに2杯目を頼む。

「で?今日の呼び出しは何??また彼女と別れたとか??」

笑って見ている俺に文香が思いもよらないことを聞いてくる。
どう返事したらいいか一瞬悩む。
何度かはそういう時もあった。
会いたくて彼女と別れたと嘘を言った時もあった。
だけど今日は違う。
これが本当に最後になるかもしれない二人っきりの飲み。
そう思うと、言い訳がでてこなくなる。
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