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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第1章 初髪、初鏡
あの天孫が心を開き、天津神から国津神まで依りつかせる巫女がどんなものか……一目見ようと降ってはきたが、日嗣が近くに在るときはちょっかいを出す隙も無さそうだった。巫女の方も、従者を含め何の気負いもなく日嗣と接してくれているようで、多分それも居心地がいいのだろう。つまり、
(ホントに惚れてんだ……お互い)
初瀬自身“御令孫”のモノに本気で手を出す気も無かったが、その御令孫の百面相も滅多にお目にかかれるものでもない。酒も料理も美味いし、早々に三が日をここに居座ることを決め、その間は渦中の二人をからかって遊ぶことにした。
 それに純粋に正月は、大人数でわいわいと楽しい方がいい。
「ねえ、食べたらみんなで何かして遊ぼ~よ~。この家には他にも神様がいるんでしょ? 札遊びとか双六とか……日嗣もあのサル君呼びなよー」
「そんなこと出来るか。元日から呼び出したら裏で妻君に何を言われるか……お祖母様のお気に入りなんだ」
「へえ、猿彦さんの奥さんてスゴイ方なんですね。……あれ? でも初瀬様は? 妻神様はいらっしゃらないんですか?」
「……んーん」
日嗣に酌を乞われつつ、神依が何気なく問うと初瀬は一瞬その緩い笑みを潜めふるふると頭を横に振る。
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