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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第3章 誓約
自身のものより一回りほど大きなその手は、未だ美丈夫らしいしなやかさも残ってはいたが、土や水に触れる機会が増えたせいかごつごつとして、荒れ始めてしまっている。
禊などは、自分や一ノ弟にはこの手が誇りになるが、いずれ貴女様には似合わぬものになるのだからとよく塗り薬を勧めてくれたが、毎日塗っても日々の暮らしには到底追いつかないし、ささくれに苛められてもそれだけ頑張ったんだと思えるようになった。
禊の言う、自分達の生き方に相応しい手がどんなものか神依にはまだ分からないが……二人の肌に刻まれていくものはきっと無駄にはならないと、こうしていると感じられる。
どちらともなく並べた手を重ねれば、二人は自然と視線を交わした。
「こうしてお前に触れるなら……少し、気を付けなければな。……痛くなかったか?」
「全然。日嗣様の手は、優しいから好き」
「そうか? 意地の悪い方が、お前は好きだと思っていた」
「……やっぱり、嫌いです」
「どうだろうな。……直接、確かめてみようか」
そうしてそのまま唇が触れるだけの浅い口付けを数回繰り返し、二人は互いの距離を更に詰めてはもっと、もっとと指を、舌を絡めていく。
禊などは、自分や一ノ弟にはこの手が誇りになるが、いずれ貴女様には似合わぬものになるのだからとよく塗り薬を勧めてくれたが、毎日塗っても日々の暮らしには到底追いつかないし、ささくれに苛められてもそれだけ頑張ったんだと思えるようになった。
禊の言う、自分達の生き方に相応しい手がどんなものか神依にはまだ分からないが……二人の肌に刻まれていくものはきっと無駄にはならないと、こうしていると感じられる。
どちらともなく並べた手を重ねれば、二人は自然と視線を交わした。
「こうしてお前に触れるなら……少し、気を付けなければな。……痛くなかったか?」
「全然。日嗣様の手は、優しいから好き」
「そうか? 意地の悪い方が、お前は好きだと思っていた」
「……やっぱり、嫌いです」
「どうだろうな。……直接、確かめてみようか」
そうしてそのまま唇が触れるだけの浅い口付けを数回繰り返し、二人は互いの距離を更に詰めてはもっと、もっとと指を、舌を絡めていく。