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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第3章 誓約
 二人だけの世界で、耳に届くのはもうその唇が、舌が触れ合い離れるだけの音。神依は少しの羞恥心と共に、甘く疼く体を男にゆだね、その小さな交合を受け入れた。
 するとすぐに熱のこもった腕に背を抱かれて、その逃がさないと言わんばかりの男の独占欲に、心にも体にもますますの悦びを刻み込まれた。
 乱される髪も数多の男達に慈しまれてきたもの。それをただ一人の男に掻き抱かれるのもどこか背徳めいた甘美さを伴って、意思では抗えない感覚へと神依を誘(いざな)っていく。
 一気に突き落とされるわけでもなく、無理矢理に高められるわけでもなく……男の情欲に女の肉欲はとろとろと炙られ、その恍惚へと溶け落ちていく。
 そんな酩酊ともいえる感覚の中で神依がただ一つ理解したのは、この男神の手が、まるでそれ自体が甘い香りを放つ媚薬のようだということ。自分がどれだけ楚々とあろうと心に決めても、この手はいとも容易くそれをとろけさせる。優しく意地悪で、包み込みもすれば突き放しもする。自分は心も体も翻弄されて、けれど結局その手にすがり、ねだってしまう。
 そうして淫靡な時を夜毎重ねる度、神依は体の芯をいっそう熱く昂らせてしまうようになった。
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