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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第3章 誓約
──だって今は、こんなにも幸せな時を過ごしているのだから。
こんなにも二人の心が重なっていて、何を疑うことがあるのだろう──と、指を絡め、夜を宿した薄黄金の瞳をじっと見上げた。
直後、……ぱきん、と。
まるで自ら割れるように勾玉は涼やかな音を立てて砕け、その欠片はやはり柔らかな白い光となって二人の間に漂った。
「あっ……!」
神依は日嗣に促されるまま、慌てて指を解くと手を椀のようにしてその光に差し出す。
すると光は先程と同じようにその手の中に集まり、やがて兄とそっくりの白い狐の姿になって、その体温を神依に伝えた。
「ひ、日嗣様!」
「だからできると言っただろう。……ほら、お前のきょうだいだ」
日嗣は神依の膝にちょこんと座っていた子狐を抱くと、それを神依の手に近付ける。子狐がその弟か妹かを遊びにでも誘うように鼻先をくっ付けると、その子もまた目を覚まし、二人を見比べると元気にけん、と声を上げた。
女の子だった。
「か──かわいい……!!」
くりくりと動く丸い目、ふさふさのしっぽ。二匹はじゃれあいながら父母である日嗣と神依の周りを駆け、宙を転がる。
こんなにも二人の心が重なっていて、何を疑うことがあるのだろう──と、指を絡め、夜を宿した薄黄金の瞳をじっと見上げた。
直後、……ぱきん、と。
まるで自ら割れるように勾玉は涼やかな音を立てて砕け、その欠片はやはり柔らかな白い光となって二人の間に漂った。
「あっ……!」
神依は日嗣に促されるまま、慌てて指を解くと手を椀のようにしてその光に差し出す。
すると光は先程と同じようにその手の中に集まり、やがて兄とそっくりの白い狐の姿になって、その体温を神依に伝えた。
「ひ、日嗣様!」
「だからできると言っただろう。……ほら、お前のきょうだいだ」
日嗣は神依の膝にちょこんと座っていた子狐を抱くと、それを神依の手に近付ける。子狐がその弟か妹かを遊びにでも誘うように鼻先をくっ付けると、その子もまた目を覚まし、二人を見比べると元気にけん、と声を上げた。
女の子だった。
「か──かわいい……!!」
くりくりと動く丸い目、ふさふさのしっぽ。二匹はじゃれあいながら父母である日嗣と神依の周りを駆け、宙を転がる。