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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第3章 誓約
神依はどちらをも抱きしめてぎゅーっとしたい衝動にかられるが、ころころと戯れる様も手を出すのが忍びないほどに可愛らしくて、なんとも焦れったい。
「この子達は、鼠英様達みたいな神様なんですか?」
「そうだな。特にこの場所で、この姿で産まれ出でたのなら心当たりがある」
「やっぱり!」
二人で初めて産み出した神たる命。神依は体中から溢れそうなほど沸き上がった歓喜に、思わず全身を使って踊り出したくなってしまった。心で味わうだけでは足りない、手の先から爪先まで、その全てで爆発していたわくわくとした高揚感を、思い切り表現してみたかった。
「──ねえ日嗣様。この子達、お家に……」
連れて帰りましょう。
神依は嬉々として日嗣にそれをねだろうとするが、しかし──その言葉を発しようとした瞬間一陣の風が抜け、棚田の水が揺らぎ、鎮守の梢が一斉に大きくざわめいてそれを遮った。
そして同時に、
「えっ……!?」
二人の傍らにあった卓に蛍のような真白の光が集まり、光は瞬きのうちに狐の耳と尾を持つ小さな美しい女神の姿へと転じて、二人の前に姿を現す。
『……』
そしてそれは一度だけ二人を見上げると、淀みない仕種でその場に座し、指を揃えて深々と頭を垂れた。
「この子達は、鼠英様達みたいな神様なんですか?」
「そうだな。特にこの場所で、この姿で産まれ出でたのなら心当たりがある」
「やっぱり!」
二人で初めて産み出した神たる命。神依は体中から溢れそうなほど沸き上がった歓喜に、思わず全身を使って踊り出したくなってしまった。心で味わうだけでは足りない、手の先から爪先まで、その全てで爆発していたわくわくとした高揚感を、思い切り表現してみたかった。
「──ねえ日嗣様。この子達、お家に……」
連れて帰りましょう。
神依は嬉々として日嗣にそれをねだろうとするが、しかし──その言葉を発しようとした瞬間一陣の風が抜け、棚田の水が揺らぎ、鎮守の梢が一斉に大きくざわめいてそれを遮った。
そして同時に、
「えっ……!?」
二人の傍らにあった卓に蛍のような真白の光が集まり、光は瞬きのうちに狐の耳と尾を持つ小さな美しい女神の姿へと転じて、二人の前に姿を現す。
『……』
そしてそれは一度だけ二人を見上げると、淀みない仕種でその場に座し、指を揃えて深々と頭を垂れた。