- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第3章 誓約
「神依……」
頑なになってしまった神依の心に、どこか驚きを含んだ日嗣の声が届く。
自分がここまで嫌がるとは思わなかったのだろうか。それが神と人の差なのか、それとも男と女の差なのかは分からない。ただ少しだけ遠ざかってしまったものを繋ぎ留めるようにそっと肩を抱かれて、神依は堪らずそのまま日嗣の胸にすがりついた。
──本当は分かっている。神が神としてあれることの幸福は、目の前にある愛しき男神と、一人目の巨きな子が既に教えてくれていた。海の中で、その命の水の中で、首のない龍は確かにそれを告げていた。
──ああ……。……ありがたい……
──私はまだ、神でいられる。
神依は何も言わず、ただやりきれない気持ちを男の心に直接伝えるように胸元に顔を埋め、日嗣もまた、それを受け入れた。自分一人で決めてしまったことを詫びるように小さな背を抱き、同じ気持ちで後ろ髪を撫で、その心が落ち着くのをただただ待った。
それに神依は甘え、理解し、やがて何かを決心したかのように──それが日嗣にも伝わるように腕の中で頷くと、顔を上げてもう一度小さな女神の前に進み出た。
頑なになってしまった神依の心に、どこか驚きを含んだ日嗣の声が届く。
自分がここまで嫌がるとは思わなかったのだろうか。それが神と人の差なのか、それとも男と女の差なのかは分からない。ただ少しだけ遠ざかってしまったものを繋ぎ留めるようにそっと肩を抱かれて、神依は堪らずそのまま日嗣の胸にすがりついた。
──本当は分かっている。神が神としてあれることの幸福は、目の前にある愛しき男神と、一人目の巨きな子が既に教えてくれていた。海の中で、その命の水の中で、首のない龍は確かにそれを告げていた。
──ああ……。……ありがたい……
──私はまだ、神でいられる。
神依は何も言わず、ただやりきれない気持ちを男の心に直接伝えるように胸元に顔を埋め、日嗣もまた、それを受け入れた。自分一人で決めてしまったことを詫びるように小さな背を抱き、同じ気持ちで後ろ髪を撫で、その心が落ち着くのをただただ待った。
それに神依は甘え、理解し、やがて何かを決心したかのように──それが日嗣にも伝わるように腕の中で頷くと、顔を上げてもう一度小さな女神の前に進み出た。