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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第1章 初髪、初鏡
「お……お前と一緒にするな……!」
「晦日から“姫始め”のことを考えていたお方が仰るお言葉ではないような気も致しますが」
「……ちょっと待て……禊。俺はそんな言葉は使った覚えはない」
「同じことです」
「禊……、日嗣様、初瀬様……」
そしてそのどうしようもない男達の一連の話をそのままの状態で聞いていた神依は、羞恥に震えながら一言、
「──いつまで触ってるんですか! 二人とも、馬鹿ぁっ!」
と怒り、更に必死で笑いを堪えて卓の下で踞る童を見て頬をふくらませると、がつがつとお雑煮を頬張り、おかわりを求めたのだった。
***
それからの午後の時間は、ひたすら神依の機嫌を取ることに費やされた。
「……あっ、やったあ! 上がりです!」
「お~、スゴイスゴイ! 四連勝だね~」
「……初瀬……お前……」
正月ということで特にすることもなく、皆で楽しめる盤遊びや札遊びをしていたのだが、どうにも神依だけサイコロの出目が異常に良い。
明らかに初瀬の神徳なのだが、本人は素知らぬ振りで神依の勝利を持て囃している。だが神依は神依で何の不信感も得ず楽しんでいるようだったので、日嗣と禊、童も黙ってそれに付き合っていた。
「晦日から“姫始め”のことを考えていたお方が仰るお言葉ではないような気も致しますが」
「……ちょっと待て……禊。俺はそんな言葉は使った覚えはない」
「同じことです」
「禊……、日嗣様、初瀬様……」
そしてそのどうしようもない男達の一連の話をそのままの状態で聞いていた神依は、羞恥に震えながら一言、
「──いつまで触ってるんですか! 二人とも、馬鹿ぁっ!」
と怒り、更に必死で笑いを堪えて卓の下で踞る童を見て頬をふくらませると、がつがつとお雑煮を頬張り、おかわりを求めたのだった。
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それからの午後の時間は、ひたすら神依の機嫌を取ることに費やされた。
「……あっ、やったあ! 上がりです!」
「お~、スゴイスゴイ! 四連勝だね~」
「……初瀬……お前……」
正月ということで特にすることもなく、皆で楽しめる盤遊びや札遊びをしていたのだが、どうにも神依だけサイコロの出目が異常に良い。
明らかに初瀬の神徳なのだが、本人は素知らぬ振りで神依の勝利を持て囃している。だが神依は神依で何の不信感も得ず楽しんでいるようだったので、日嗣と禊、童も黙ってそれに付き合っていた。