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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第1章 初髪、初鏡
強いて言うなら日嗣の出目はとても悪い。自分の福を神依の方に回されている気がしないでもないのだが、正月の神に愛されるというのはまあそういうことなのかもしれなかった。
しかしそれでも夕方近くになるとさすがに禊と童は最低限の家事に立ち、残された三人もなんとなく遊び疲れて気もそぞろになってくる。
神依も、冬場は寒さで体調を崩さないよう日が落ちる前の早めのお風呂を心掛けていたのだが、その支度の声も掛からないので小首を傾げて禊を呼び止めた。
「──ねえ禊、お風呂は?」
「いえ、元日は入浴もしてはいけません。晦日の宵に一年の穢れを落とし、そのぶん元日に福を頂くわけですから……それを流してしまっては」
「ああっ、やっぱり!」
それも何となく予想はしていたのだが、風呂好きの神依はがっかりと肩を落とす。それに加えて明日は奥社合同の新年の行事もあるし、女心にもそれはあんまりだと思うのだが聞き入れられない。
「どうしてもと仰るなら、明日時間を見ながら昼前に。お風邪を召されても困りますので」
「え~……」
「じゃあさ神依、僕と一緒に入ろっか。流れた分、倍にして返」
「あ、やっぱりいい」
「お分かりいただけたようで何よりです」
しかしそれでも夕方近くになるとさすがに禊と童は最低限の家事に立ち、残された三人もなんとなく遊び疲れて気もそぞろになってくる。
神依も、冬場は寒さで体調を崩さないよう日が落ちる前の早めのお風呂を心掛けていたのだが、その支度の声も掛からないので小首を傾げて禊を呼び止めた。
「──ねえ禊、お風呂は?」
「いえ、元日は入浴もしてはいけません。晦日の宵に一年の穢れを落とし、そのぶん元日に福を頂くわけですから……それを流してしまっては」
「ああっ、やっぱり!」
それも何となく予想はしていたのだが、風呂好きの神依はがっかりと肩を落とす。それに加えて明日は奥社合同の新年の行事もあるし、女心にもそれはあんまりだと思うのだが聞き入れられない。
「どうしてもと仰るなら、明日時間を見ながら昼前に。お風邪を召されても困りますので」
「え~……」
「じゃあさ神依、僕と一緒に入ろっか。流れた分、倍にして返」
「あ、やっぱりいい」
「お分かりいただけたようで何よりです」