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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第1章 初髪、初鏡
後ろからがばりと抱きしめられ愛玩動物にするように頬擦りをされて、神依はその台詞すら遮って大人しく引き下がる。日嗣に叩(はた)かれ、禊ももう何も突っ込まないのだが、それにしてもこの神様もなかなかにめげない。
 「──そしたらさ、禊君。僕も今日はここに泊まるから、午前の内に奥社に行って僕の装束を取りにいってくれるかな。多分、上から届いてると思うから。やったね、福男だよ」
「はい、ありがたき栄誉にございます。確かに承りました」
「装束?」
わざわざ膝を折って礼を取った禊に神依が不思議そうに呟くと、初瀬はまたへらっと笑って「内緒」と神依の鼻先を指でつつく。
 「それよりほら、今日は僕が主役な訳だからさ」
「?」
「また一緒のお布団に入ってほかほかしようね~」
「何故そうなる、そんなに寝たければ神依の部屋の脇の縁側にでも床を敷け」
「ご心配いただかなくとも、御令孫にも初瀬様にも然るべきお部屋をご用意させていただきますので」
(うわぁ……)
そしてその部屋割が大体どんなものか想像できた神依は、ほんのちょっとその「間」に割り込んで川の字になってみたいような、なってみたくないような、複雑な気持ちになる。
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