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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第4章 傘爺

*
二時間目の授業が終わり、少し長めの休み時間に入ると一年生の廊下は一気に賑やかさを増す。
校庭の遊具には上級生より早く辿り着かなければならないし、体育館のボールだってそうだ。バスケットボールやバドミントンのスペースは限られた分しかなく、準備にも時間がかかる。
また中庭の飼育小屋にはこの時間に近所のスーパーから野菜の切り屑が届けられるので、飼育係にお願いすれば野菜を分けてもらえて、ウサギやハムスターに手から餌をやることもできるのだ。
そんなこんなで、クラスでも中心となるグループの子達が慌ただしく飛び出していくと、教室の密度と温度が一気に下がった気がした。
「詩織(しおり)ー!!」
そんな中自身を呼ぶ大きな声が入り口の方から聞こえてきて、机の横に掛けてある手提げかばんを取ろうとしていた詩織はびっくりして顔を上げた。
入り口を見れば、そこにいたのは声の大きさに反して女の子よりも背が低い小柄な男子。(並ぶときはいつも一番前だった気もする。)髪もつやつやで、自分の服を着せたらきっと女の子に見えるに違いない。
「詠士(えいじ)」
それは生まれたときからずっと一緒の、双子の片割れ。詠士だった。
二時間目の授業が終わり、少し長めの休み時間に入ると一年生の廊下は一気に賑やかさを増す。
校庭の遊具には上級生より早く辿り着かなければならないし、体育館のボールだってそうだ。バスケットボールやバドミントンのスペースは限られた分しかなく、準備にも時間がかかる。
また中庭の飼育小屋にはこの時間に近所のスーパーから野菜の切り屑が届けられるので、飼育係にお願いすれば野菜を分けてもらえて、ウサギやハムスターに手から餌をやることもできるのだ。
そんなこんなで、クラスでも中心となるグループの子達が慌ただしく飛び出していくと、教室の密度と温度が一気に下がった気がした。
「詩織(しおり)ー!!」
そんな中自身を呼ぶ大きな声が入り口の方から聞こえてきて、机の横に掛けてある手提げかばんを取ろうとしていた詩織はびっくりして顔を上げた。
入り口を見れば、そこにいたのは声の大きさに反して女の子よりも背が低い小柄な男子。(並ぶときはいつも一番前だった気もする。)髪もつやつやで、自分の服を着せたらきっと女の子に見えるに違いない。
「詠士(えいじ)」
それは生まれたときからずっと一緒の、双子の片割れ。詠士だった。

