
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第4章 傘爺

あるいは、マスコットかもしれないけれど。
「──詩織ちゃん、図書館行こ」
「あ、うん!」
一方詩織も約束をしていた友人に声を掛けられ、今度こそ手提げかばんを持って立ち上がる。
「詠士くんは今日も元気だね」
「家でもああなんだよ。よく疲れないよねえ」
「いいなあ。私なんてお兄ちゃんいるけど、いっつもえばっててイジワルだし。それに双子って、なんかトクベツな感じするじゃない。ママが言ってたんだけど、相手がおなか痛いときとか、自分も分かったりするってほんと?」
「んー、どうだろう。あ、でも……前に、同じ日に同じ夢を見たこととかはあるよ」
「えースゴーイ! そういうのほんとにあるんだ!」
「うん。それでね──」
学年に一組しかいない双子。それはまだ世に出て浅い子供達には稀なもので、好奇心のある子達からはいろいろと問われることもある。けれどもその中から気の合う友人もでき、詩織もまた詠士とは異なるけれど、楽しい小学生生活を送れるようになっていた。
*
「──“傘爺”って知ってる?」
「かさじじい?」
そしてそんな噂が広まったのは、一年生最後の学期。まだ寒さも明けない、冬の頃だった。
「──詩織ちゃん、図書館行こ」
「あ、うん!」
一方詩織も約束をしていた友人に声を掛けられ、今度こそ手提げかばんを持って立ち上がる。
「詠士くんは今日も元気だね」
「家でもああなんだよ。よく疲れないよねえ」
「いいなあ。私なんてお兄ちゃんいるけど、いっつもえばっててイジワルだし。それに双子って、なんかトクベツな感じするじゃない。ママが言ってたんだけど、相手がおなか痛いときとか、自分も分かったりするってほんと?」
「んー、どうだろう。あ、でも……前に、同じ日に同じ夢を見たこととかはあるよ」
「えースゴーイ! そういうのほんとにあるんだ!」
「うん。それでね──」
学年に一組しかいない双子。それはまだ世に出て浅い子供達には稀なもので、好奇心のある子達からはいろいろと問われることもある。けれどもその中から気の合う友人もでき、詩織もまた詠士とは異なるけれど、楽しい小学生生活を送れるようになっていた。
*
「──“傘爺”って知ってる?」
「かさじじい?」
そしてそんな噂が広まったのは、一年生最後の学期。まだ寒さも明けない、冬の頃だった。

