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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第1章 初髪、初鏡
 二人とも、飴でも舐めて黙っていれば文句の付けようもない美男子であることは間違いないのだし、そんな二人に熱っぽく見つめられて褥の中にあれたならどれだけ甘く、面映ゆくも幸せな夜を過ごせるのだろう──。
 と、いくら乙女らしい感傷に浸ったところで、実際には乳房を狙った手が伸びてくるだけである。ただ一緒に横になって眠るだけで充分なのに、この男神達は良からぬことを考えているようで、一晩中頭の上で喧嘩──というか不毛なやり取りをされそうな気がして、神依は早々に平和な一人寝を選ぶことにした。
 そしてその神依の予想通り、夜、日嗣と初瀬は禊の手によって二人して“妻問い”用の部屋に押し込められ、
「元日に巫女の元に降って一緒に寝れなかったのなんて初めてだよ! 大体何で君がこんなとこ居るのさ、この部屋君の私物まであるし完全に君の部屋だろ! もー早く上に帰って祭祀に出なよ~!」
「うるさい初瀬……俺は寝る」
と初瀬は自棄飲みしながら延々と日嗣に愚図り、その頃の神依はもちろん一人、ぬくぬくと布団の中で心地好い睡眠を味わっていた。
 元日は皆どこか心がふわふわと浮わついたまま、けれども何事も無く、穏やかに過ぎていくものかもしれなかった。
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