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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第4章 傘爺
 じゃんけんをして歩道橋を上ったり、白線の上だけを歩いたり。黒のコンクリートは底なし穴。足を踏み外したら、もう助からない。
 「──ん?」
「わっ、どうしたの?」
その冒険の最中(さなか)、詠士が急に足を停めた。通学路を分け合ってから数分後、詠士の若草色のランドセルにぶつかっておぶさるような形で着地した詩織は、その勢いのまま水溜まりに足を突っ込んでしまう。傘と傘がぶつかり、二つとも跳ねるように二人の手からこぼれ落ちる。
「うぇ」
水溜まりの濁った水をすくうように落ちた逆さまの傘。そして、靴下に染み込んでくる生温い水の感触。その不快感に、やってしまったと口の中で呻くと、詩織は口を尖らせて詠士を見る。文句の一つでも言ってやろうと思ったのだが、しかし──片割れはそんな詩織には目もくれず、驚いたような顔でただただじっと、前を見つめていた。
 「詩織──」
「……詠士」
傘を拾い──差さなかったが──傍らに並び同じように前を見れば、ようやく詠士がこちらを向いて口を開く。詩織もまた、やっとその意味を理解して、間違いないと名前を呼んで頷いてみせた。
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